70代男性 発音のしにくさを改善するためコバルトクロム金属床義歯を作製した
ご相談内容
「右上の奥歯に新しく保険で作った入れ歯を使っているが、入れ歯を入れるとしゃべりにくい」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果
拝見したところ、右上の奥歯4本が欠損しており、保険の入れ歯を使用していました。
入れ歯自体は丁寧に作製されていたものの、左右の入れ歯をつなぐ金属のバーの位置や角度が、発音に影響する一因と考えられました。
また、保険の入れ歯は構造上、上あごの歯ぐきと金属のバーとの間に隙間ができやすい場合があります。
そのため、入れ歯がわずかに浮いたような状態になり、装着時の違和感やしゃべりにくさにつながることもあります。
なお、下あごは他院で製作された入れ歯をご使用中でしたが、違和感などなく使用できているとのことで、調整や再製作は不要と判断しました。
以上のことから、しゃべりにくさを改善するためにはお口の形に精密に合わせた上あごの入れ歯を作り直す治療が適していると診断しました。
行ったご提案・治療内容
新しい上あごの入れ歯の種類として、以下の4つを提案しました。
①コバルトクロム金属床義歯
上あごに触れる部分をコバルトクロムという金属で作製する入れ歯
メリット:保険の入れ歯よりも薄く作製しやすく、上あごとの密着度を高めやすい。
デメリット:自費診療のため比較的費用がかかる。
②チタン床義歯
上あごに触れる部分を金属のチタンで作製する入れ歯
メリット:保険の入れ歯より薄く作製できる。金属アレルギーに配慮できる。
デメリット:自費診療のため比較的費用がかかる。適用外の義歯洗浄剤を使用すると、金属が黒っぽく焦げたように変色することがある。
③コーヌステレスコープ義歯
残っている歯を土台とし、被せ物をはめるように入れ歯を支える治療方法
メリット:金属のバネを使わないため見た目が自然。残っている歯すべてで入れ歯を支えるため、安定性が高い。
デメリット:残っている歯の被せ物をほとんど外す必要があり、場合によっては健康な歯も削る必要がある。
④白金加金床義歯
白金加金という金合金にプラチナを加えた金属を使用した入れ歯
メリット:金属アレルギーの心配がなく、劣化や変形も少ない。
デメリット:費用負担が大きくなるため、同等の費用をかけるのであれば、インプラント治療で歯の欠損部を補う方法も選択肢に入る。
また、入れ歯の厚さについて歯科技工士に確認したところ、今回のケースでは、チタンとコバルトクロムを比較するとコバルトクロム金属床義歯のほうが若干薄く作製できることが分かりました。
それぞれのメリット・デメリットを説明したところ、患者様は①のコバルトクロム金属床義歯を選択されました。
入れ歯のバネをかける歯には負担がかかるため、将来的にバネをかけている歯が割れたり、抜けたりするリスクがあります。
その場合は、新しい入れ歯を作製する必要があることも併せて説明しています。
入れ歯の設計については、歯の欠損は右側のみでしたが、反対側の歯にも金属を伸ばす「両側設計」としました。入れ歯を支える範囲を広くすることで、安定性が高くなります。
また、上あごを通る金属のバーは、位置や角度を見直し、発音への影響を考慮して設計を行いました。
さらに、歯にかけるバネは、左右ともに金属製のものを選択しました。
お口を開けた際に目立ちにくいプラスチック製のバネもありますが、厚みや大きさが出やすく、唇の裏側に当たることでしゃべりにくさを誘発する可能性があります。
そのため、今回はお口を開けた際に目立ちやすいものの、よりコンパクトに作製できる金属製のバネを採用しています。
まず、患者様のお口の形に合わせた専用のトレーを作製し、これを使用してコバルトクロム金属床義歯を作製するための精密な型取りを行います。
次に、仮の入れ歯を試着していただきました。これまで使用していた保険の入れ歯と比較しながら、発音のしやすさについて患者様と確認しています。
その後、最終的なコバルトクロム金属床義歯を作製し、噛み合わせやバネの角度の調整を行って治療を終了しました。
この治療のリスクについて
・着脱式のため、食後の清掃が必要です
・最初のうちは異物感があり、慣れるまで時間がかかる場合があります
・慣れるまでは、入れ歯の裏側の粘膜に傷ができる場合があります
年齢・性別 70代男性
診療種別 自由診療
治療回数の目安 約5回
治療費総額の目安 約540,000円
※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。