70代男性 上下ほぼすべての歯を抜き即時義歯で全顎的な治療を行った症例

ご相談内容

「上前歯がグラグラしている。下の歯も痛むので診てほしい」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、上前歯を中心に複数の歯がグラグラしていました。
レントゲン撮影をして詳しく検査をした結果、上顎に残っている左右側切歯、左右犬歯の計4本と、下顎の右犬歯1本を抜く必要があることが判明しました。

もしこのまま抜歯せずにグラグラする歯を放置した場合、顎の骨が徐々に痩せ、将来的に入れ歯などを安定して装着することが難しくなるリスクがあります。

以上のことから、早急に抜歯したうえで、欠損部を補う治療が必要だと診断しました。

行ったご提案・治療内容

診断結果をもとに、以下2つの治療を提案しました。

①段階的抜歯+抜歯当日に装着する義歯(即時義歯)による全顎再構成
抜歯を段階的に行いながら、抜歯と同時に義歯を装着する方法です。
メリット:歯がない期間を作らずにすむ。段階的に義歯に慣れることができる
デメリット:複数回の通院と、調整期間が必要になる。抜歯後に歯茎が安定するまで、半年以上かかる場合がある

②インプラントオーバーデンチャー
抜歯後、顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に義歯を装着して固定する方法です。
メリット:義歯を安定して装着することができる
デメリット:外科的な手術が必要になる。自費診療なので費用が高額になる

患者様は過去に入れ歯を使用した経験がほぼありませんでした。
そのため、いきなり上下ともに総義歯へ移行すると、咀嚼や発音など日常生活への影響が大きく、心身に負担が生じるリスクがあることをお伝えしています。

以上の説明を踏まえ、治療方法ついてしっかりと検討された結果、患者様は①の治療を選択されました。

まず、上顎のミリングデンチャーを作製します。ミリングデンチャーとは、プラスチック素材をコンピュータ制御の機械で削り出して作製する、精度の高い義歯のことです。

前歯部には強いぐらつきが認められたため、型取りの際の刺激によって歯が抜けてしまうリスクがありました。
そのため、従来のゴム製の材料を用いた型取りではなく、口腔内スキャナーによる精密な型取り(光学印象)を選択しています。
光学印象により口腔内の3次元データを取得し、コンピュータ上で義歯の設計を行うCAD/CAMシステムを用いて、上顎のミリングデンチャーを製作しました。

続いて、上顎の歯(左右側切歯、左右犬歯)を計4本抜き、抜歯当日にミリングデンチャーを装着します。
抜歯部位の歯茎が治癒したことを確認したら、金属の土台を用いた最終義歯であるチタン金属床義歯を作製し、装着しました。
チタン金属床義歯は長期的な安定性と装着感を重視して作られており、薄くて軽く、強度と快適性に優れています。

下顎も右犬歯を抜き、同日に複数歯を連結した被せ物であるブリッジを前歯部に装着しました。
下顎の義歯の土台には、強度が高く薄く作ることが可能なコバルトクロム金属床を採用し、人工歯には自然な色調と耐摩耗性に優れた高品質レジン歯(エステショット人工歯)を使用しています。
また審美性に配慮し、金属のバネがないノンクラスプタイプを選択しました。

下顎の抜歯後は、歯茎の状態に合わせて義歯の内面を丁寧に調整し、快適に使用できるよう継続的な調整を行っています。

今回の治療では、義歯そのものは比較的短期間で製作することができました。
ただ、抜歯後に歯茎がしっかりと治癒して噛み合わせが落ち着くまで、十分な調整期間を確保しながら慎重に治療を進めています。

調整した義歯が完成したら装着し、痛みや違和感はないか、噛み合わせに問題がないかを確認して、治療を終了しました。

この治療のリスクについて

・着脱式のため、食後の清掃が必要です
・最初のうちは異物感があり、慣れるまで時間がかかる場合があります
・慣れるまでは、入れ歯の裏側の粘膜に傷ができる場合があります
・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります
・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します

  • 年齢・性別 70代男性

  • 診療種別 自由診療

  • 治療期間の目安 約6ヶ月

  • 治療費総額の目安 約1,640,000円

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。

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