60代女性 歯が1本のもないところにBPS精密総義歯で噛み合わせを回復した症例

ご相談内容

「これまで何度も入れ歯を作り直してきたが、より使いやすい入れ歯を作ってほしい」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、上下ともに歯が1本もない状態(無歯顎)で、すでに総義歯を使用されていました。

詳しく検査をした結果、下顎の奥にある骨の大部分が溶けていました。
通常、下顎の感覚をつかさどる神経(オトガイ神経、下歯槽神経)の出口は骨の中に収まっていますが、患者様の場合は歯茎の表面のすぐ下にまで近づいています。
これは、噛むたびに神経を圧迫し、ビリビリとした痛みや不快感が出やすい状態です。

また、長年入れ歯を使用していた影響で、噛み合わせの高さや位置にも変化が生じており、このまま放置すると顎関節や筋肉など周辺組織への負担が増えるリスクもあります。

以上のことから、神経への圧迫を最小限に抑えつつ、正しい噛み合わせになる入れ歯を作製する必要があると診断しました。

行ったご提案・治療内容

診断結果をもとに、以下3つの治療方法を提案しました。

①BPS(Biofunctional Prosthetic System=生体機能的補綴システム)精密総義歯
専門の歯科技工士と連携しながら、特殊な手順で作製する精度の高い総入れ歯です。
メリット:神経への刺激を最小限に抑えた設計が可能で、患者様の顎の動きや機能に合わせた義歯を製作できる
デメリット:保険適用の入れ歯と比べて製作工程が多く、通院回数が増えたり費用負担が大きかったりする

②IOD(インプラントオーバーデンチャー)インプラントで固定する入れ歯
顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、それを支えとして義歯を固定する入れ歯です。
メリット:入れ歯を安定して装着することができる
デメリット:外科手術が必要になるため、治療期間が長くなる

③通常の総義歯
保険適用の入れ歯です。
メリット:費用負担が少ない
デメリット:現在の顎の状態では、使用中に痛みが出るおそれがある

患者様は下顎の骨が大きく失われており、インプラントを埋め込むために必要な骨が不足していると考えられたため、②の治療は難しい状態です。
患者様自身もインプラント治療を希望していなかったこと、③の方法では痛みが出るリスクが高いことから、①を選択されました。

治療の際はBPS専門の歯科技工士が立ち会い、都度患者様と相談をしながら義歯を製作することをお伝えしています。

まず、歯茎や大まかなお口の形を型取りする「概形印象」をしたのち、入れ歯をより正確に作るための精密な型取り「精密印象」を行いました。
続いて、専用のワックスやシリコーン材を用いて上下の歯の接触位置を確認し、自然な噛み合わせの高さや位置関係を記録する「咬合採得」も実施しています。

その後、前歯部だけ入れ歯を装着して使用感を試します(試適)。次に、奥歯部も作製して前歯部と同じように試適を行いました。その際、必要に応じて追加の試適も実施しています。

一般的な義歯では、前歯部と奥歯部をまとめて試適することが多いのですが、BPS精密総義歯は精度を高めるため、前歯部と奥歯部を段階的に分けて確認します。

また、各工程では専門歯科技工士の立ち合いのもと、患者様の顎の動きや要望を確認しながら慎重に製作を進めていきました。
今回の治療は、下顎の神経にも配慮しなければならなかったこと、噛み合わせの高さと位置の回復にも注力する必要があったことを踏まえて、時間をかけて対応しました。

後日、完成したBPS精密総義歯を装着し、使用感や見た目に問題がないことを確認します。
初めのうちは2〜3日おきに調整を行い、その後は月1回の調整を実施しました。
現在は、数ヶ月に1回の定期的な調整を継続しています。

この治療のリスクについて

・着脱式のため、食後の清掃が必要です
・最初のうちは異物感があり、慣れるまで時間がかかる場合があります
・慣れるまでは、入れ歯の裏側の粘膜に傷ができる場合があります

  • 年齢・性別 60代女性

  • 診療種別 自由診療

  • 治療回数の目安5~6回
    (完成後の調整は別途)

  • 治療費総額の目安約900,000円
    (BPS精密総義歯 上・下)

  • 調整料や再診料は別途

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。

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