入れ歯が長持ちする7つの習慣

1.残っている歯に感謝

歯の一部を失った場合に入れる入れ歯、部分入れ歯の寿命を大きく左右するのは、残っている歯の状態 です。入れ歯自体の寿命というのは大きく分けて2つ。1つは入れ歯そのものが壊れてしまう。もう一つは、入れ歯を止めるために使っている歯やその隣の歯が無くなってしまうと、入れ歯が安定しなくなるので、使えない入れ歯になってしまいます。

入れ歯を止めるために使っている歯の立場になって考えてみると、無くなった歯の分まで、なぜ負担しないといけないのか?と思っていると思います。残っている歯に感謝する、つまるところ歯磨きであったり、堅い食べ物を思いっきり噛まない、早食いで歯に負担をかけない、という心がけが歯の寿命が長くなる、入れ歯が末永く機能して使える と考えております。

2.入れ歯の手入れ

入れ歯は、お箸やフォークなどの食器と同じ と考えていただけると、食事後に毎回キレイにした方がいい とイメージがつきやすいと思います。食事がついたままの食器は、そのまま放置しておくと洗ってもなかなか汚れがこびりついてしまって、落としにくくなると思います。

また汚れが原因で、そこからカビやばい菌が繁殖して、汚れた入れ歯を口に入れる つまり、肺炎の原因となる菌を体に入れてしまう可能性が高くなります。

入れ歯のお手入れで1番オススメのほうほうは、入れ歯ブラシというブラシでこすることです。特に洗剤や歯磨き粉は不要です。台所や洗面所のぬめりをとるのに、こすってよごれをとるのと同じで、まずはブラシで入れ歯についた汚れをこすります。その後に、入れ歯洗浄剤を使って洗浄します。

アルコール消毒、煮沸した消毒、天日干しなどは変形の原因となるので、絶対に行わないでください。またこびりついた汚れを自分でヤスリなどで削ってしまうと、一時的には汚れが取れるかもしれませんが、その削った面に再度目に見えないばい菌や汚れがつきやすくなるので、オススメしません。

3.入れ歯の装着の仕方

入れ歯を入れるときの入れ方ひとつで 入れ歯の寿命が変わります。部分入れ歯とよばれる、歯が残っている場合の入れ歯は必ず指で 出したり、入れたり を行います。

慣れてくるとついつい、咬んで ぱちん と入れたり、ベロで押し出して入れ歯を出すクセ の方もいますが、これらはいずれにしても入れ歯だけでなく残っている歯にも非常に悪影響です。

また入れ歯には必ず 入れやすい方向、外れにくい方向というのが決まっています。着脱についての練習は、入れ歯を装着した歯科クリニックで教えて頂く事をオススメします。

4.タンパク質の摂取の確認

入れ歯と食事内容 と一見関係のないように思われますが、実は大きく影響しています。

入れ歯になると、どうしても食生活が偏りがち、年齢も年齢だから、粗食でいいわ と気がつくとご飯とお野菜ばかりの食事になっていることがあります。タンパク質=お肉 ばかりの食事も偏りですが、タンパク質といっても動物性(魚、牛、トリ、ブタなど)もありますし、植物性もあります。

体は、タンパク質で出来ております。歯を支える歯肉や骨もタンパク質を原材料として作られています。ということは、タンパク質不足がずっとつづくと、入れ歯を置く歯肉、入れ歯を止める歯や歯茎の状態も悪くなっていきます。

いまの食生活を急に変える、今の食生活を否定的に考える ということは長続きしないので、一度食生活のメモや写真を撮って、なにか1つでも変えられそうなこと、プラスアルファの食事を考えるということも大事です。

注意が必要な部分もあります。全くお肉を食べていない方が、急に沢山のお肉を食べようとするとおなかがごろごろしてしまいます。まずはゆで卵とか半熟卵、少量のお肉などから少しずつプラスしてみることです。レバーなどももし食べられるならレバーもよいです。

医師から、腎臓や肝臓の病気のために食事指導がされている場合は、その優先が肝要です。

食事指導というと、アレがだめ コレがだめ というような 説教じみたイメージがあるため、毛嫌いされることもありますが、当院はそういったネガティブな要素が排除できるようライトな食事指導を行っております。

5.入れ歯ブラシの使用

みなさん、歯ブラシはご存じだともいますし普段から使っていると思います。入れ歯を磨く道具に意識をしたことがありますか?

入れ歯をこすって磨くときに、何を使いますか?歯を磨く歯ブラシ?食器用スポンジ?磨かない?

オススメは、入れ歯ブラシというもので入れ歯のおもてや、裏をこすって磨くことです。

入れ歯には見えない汚れ、ばい菌が付着しております。せっかく歯磨きをしてキレイに歯を磨いても、汚れた入れ歯を口の中に入れてしまうと、内面の汚れが歯についてしまい、歯周病、むし歯のリスクを上げてしまいます。

また歯磨き粉の使用は、入れ歯の表面を傷つけてしまうので、できるだけ水のみでこすることをオススメします。

6.寝ている時の入れ歯の保管

寝ている時に入れ歯をはずしますか?お口の中につけておきますか?

基本は、はずす です。はずしている間は、入れ歯は入れ歯専用のケースか入れ歯洗浄剤で洗浄することをオススメします。乾燥はしないように注意。

ですが、、、。

寝ている時に震災が起きて、入れ歯が心配 というかたで寝ている時もつけている方がいます。その場合は、できるだけ日中にはずす時間、短くてもいいので、はずす工夫をしてください。またそういった理由で夜間使用している ということを担当の歯科医師にお伝えください。

入れ歯の種類によっては、夜間入れ歯という、日中に使う入れ歯とはデザインや素材を変えた入れ歯を製作する場合もあります。寝ている時の食いしばり、歯ぎしりというのは非常に力がかかってくるので、せっかく時間をかけて作った金属床が壊れてしまうと、日中の食生活に影響してしまいます。また食事で少なからず汚れている入れ歯を夜間に入れること自体も、衛生的な観点からオススメしないです。口腔内の菌で肺炎を起こしてしまうこともありますので。

普段から入れ歯を清潔にしておくことで、口腔内につけていても、問題が出にくい ということを示唆した研究もあります。大学のときに口腔カンジダを研究していた先生が、普段から入れ歯をキレイにしているかたからは、カンジダの検出はされなかったのですが、義歯清掃不良の方は、案の定、カンジダが発見されておりました。カンジダと一口にいっても、いろいろな種類があり、中には癌とも関係していると言われているカンジダが見つかった方もいらっしゃいます。

いずれにしても、前述の入れ歯ブラシでこする、定期的な義歯洗浄 が、肺炎予防になったりします。

7.入れ歯の安定剤の使用

入れ歯安定剤 というと テレビコマーシャルででてくる製品などを思い浮かぶ方もいらっしゃると思います。実は使ってます というかたも少なからずいらっしゃいます。

大学に所属していたときに入れ歯の安定剤を使用している入れ歯の方の研究をしていました。

歯科医師という立場上、入れ歯安定剤イコール悪 というイメージを持っている かもしれませんが、安定剤も使い方によっては、食生活の改善や楽しい食事になる こともあります。

一般的に安定剤には、3種類売っており、まちの薬局には、おおよそクリームタイプとクッションタイプの安定剤が売っております。もう一つは、粉のタイプ。

当院では、安定剤を使用しなければならない状態は、クリームタイプまたは粉のタイプの安定剤の利用をお勧めしております。間違っていただきたくないのは、「安定剤を使ってください」「安定剤を積極的に使ってください」ということではありません。

基本的には、しっかりと入れ歯の調整を行った上で、どうしても、○○の食事の時は必要だ、友人との外食時で、絶対に外れて欲しくない、大事なスピーチの時に動いて欲しくない といった一時的に使用 というのは、担当の歯科医師とよく相談してご使用ください。

まとめ

言わずもがな 歯科医院での定期的な入れ歯のチェックは必要です。車の車検のように、少なくとも半年に1度は、入れ歯のチェックを含め歯の掃除も行って行くことで、入れ歯も残っている歯も良好に維持できます。

入れ歯が緩い、痛い といった症状がでている場合は、かなり入れ歯の状態が悪くなっている証拠です。ちょっとした入れ歯の調整だけで、毎日の食事が変わります。めんどくさい歯科受診ですが、自分の歯です。自分の歯を守れるのは自分だけ。

まずは行動すること。結果的に入れ歯が長持ちして残っている歯の状態も保存できます。

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